2023/05/05 14:54

ほうれん草はヒユ科の緑黄色野菜です。
原産地はペルシャ(現在のイラン)で、英語のspinachはペルシャ語が語源であるといわれています。また、中国語でペルシャを「ほうれん」と呼んでいたことが、日本語名の由来です。
鉄やβ-カロテンなどを豊富に含み、栄養価が高いことで有名です。
緑黄色野菜の中でも、特に栄養価が高いことで知られているほうれん草には、貧血予防に重要な鉄や鉄の吸収を高めるビタミンC、造血に働くといわれる葉酸などが豊富に含まれています。
また、ヨーロッパでは「胃腸のほうき」と呼ばれている程、便秘解消に効果があるといわれています。
ほうれん草に含まれる栄養成分
ほうれん草には、β-カロテンやビタミンB群、ビタミンCが豊富に含まれており、のどの粘膜を丈夫にし細菌感染を防ぐ働きを持つとして、風邪の予防に最適であるといわれています。
レモンの2倍のビタミンCや、造血に必要な鉄や葉酸も豊富に含まれています。
鉄分が多い野菜として有名ですが、体内で吸収される量は2~5%と微量です。たまごなどの動物性たんぱく質と一緒に食べると効率よく鉄が体内で吸収されます。
また、ほうれん草にはカロテノイドの一種であるβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンは必要な分のみが体内でビタミンAに変換されるため、ビタミンAで心配される過剰摂取の危険性がなく、安心です。
貧血を予防する効果
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が減少していると貧血になります。
ヘモグロビンは、呼吸をした際に肺に取り込まれた酸素を全身の組織に運んで供給する役割を果たしており、ヘモグロビンの量が減ると、細胞に供給される酸素が不足します。このため、顔が青白くなる、少し動いただけでも息切れがする、動悸が起こる、疲れやすくなる、立ちくらみがするなどの症状が起こります。
ほうれん草はヘモグロビンの材料となる鉄に加え、鉄の吸収を高めるビタミンCや、鉄と協力してヘモグロビンを形成する葉酸も豊富に含んでいるため、貧血の予防に最適な野菜であるといわれています。
卵など動物性のたんぱく質と一緒に摂ると、鉄の吸収・働きがさらに良くなるといわれています。
●動脈硬化を予防する効果
日常生活で体内に発生する活性酸素[※2]は、血中の脂質を酸化させるため動脈硬化の原因となります。
β-カロテンには体内の活性酸素を除去する働きがあり、血中の脂質の酸化を防ぎ血管を若々しく保ってくれるため、動脈硬化の改善や予防に効果を発揮するといわれています。
また、ほうれん草の緑色は、カロテンの黄色と葉緑素の色素であるクロロフィルの緑色が合わさったものです。クロロフィルは血液中の悪玉(LDL)コレステロールを強力に低下させ、同時に善玉(HDL)コレステロールを増やすため血液がサラサラになり、動脈硬化の予防に効果的です。
さらに、ほうれん草にはピラジンという香り成分が含まれており、ピラジンには血栓を防ぐ作用があるため血流を改善する効果が期待できます。
●高血圧を予防する効果
食塩の過剰な摂取などによりナトリウムが血中に多く存在すると、体内で水分の移動が正常に行われなくなり、高血圧を招いてしまいます。
ほうれん草に含まれるカリウムには、余分なナトリウムを体外に排出する働きがあるため、血圧を下げ高血圧を予防する効果が期待できます。
ほうれん草は様々な栄養素が一度に補えるため、生活習慣病の予防に適した野菜であると考えられています。
●視機能を改善する効果
β-カロテンから変換されたビタミンAは、目が網膜で光を感じる時に必要なロドプシンの生成に必要とされる成分で、夜盲症や眼精疲労の予防に効果が期待されています。また、ほうれん草にはルテインやゼアキサンチンも含まれています。ルテインやゼアキサンチンはカロテノイドの一種で目の水晶体や黄斑部に多く存在し、強い抗酸化力を持つカロテノイド色素で、紫外線などのダメージから目を守ります。
●免疫力を高める効果
β-カロテンから変換されたビタミンAには、皮膚やのどなどの粘膜を正常に保つ働きがあります。さらにほうれん草に含まれているビタミンCやビタミンEには、免疫力を高めてくれる働きがあるため、ほうれん草は口内炎や風邪の予防に効果的であるといわれています。
●美肌効果
ほうれん草にはβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンから変換されたビタミンAには皮膚や粘膜を丈夫に保ってくれる働きがあり、肌のカサつきや肌荒れの改善に期待できます。
また、β-カロテンには紫外線によって発生した活性酸素を無効化する働きがあり、ビタミンCの効果とあわせてメラニン色素[※3]の発生を抑制する効果もあります。
他にも、ほうれん草には若返りのビタミンといわれているビタミンEが含まれています。さらに、豊富に含まれるビタミンCがコラーゲンの生成を促進し肌のハリが保たれることにより、シワの予防や改善にも役立ちます。
様々な栄養素の相乗効果により、ほうれん草は美肌を導く効果があるといわれています。
●便秘を解消する効果
ほうれん草は、ヨーロッパで「胃腸のほうき」と呼ばれている程、便秘解消に効果があるといわれています。ほうれん草には良質な食物繊維に加え、自律神経[※4]を調節し、腸のぜん動運動[※5]を促進してくれる働きがあるビタミンB₁、食物繊維の働きを高めてくれるビタミンCも含まれます。
●骨や歯を丈夫にする効果
ほうれん草には、骨の材料となるカルシウムに加え、骨の形成に必要とされるマンガンや丈夫な骨づくりのサポートをするビタミンCも含まれています。