コラム

2023/05/03 06:00

トマトはナス科の野菜で、日本では唐柿(とうし)、赤茄子(あかなす)、蕃茄(ばんか)、小金瓜(こがねうり)などの別名があります。
トマトの栽培に適した温度は10〜25℃程度といわれており、最低気温が5〜10℃を下回ると障害を受けるため、日本では冬に枯れてしまいます。熱帯地方などでは寒さによる枯死の心配がなく長年に渡って生育し続け、延々と開花と結実を続けることができます。生育し続けるとその全長は8〜10mにも達します。
トマトという呼び名はメキシコ先住民の言葉で「膨らむ果実」を意味する「トマトゥル」からきています。本来トマトゥルとはホオズキのことを指し、トマトがホオズキの形に似ていたため同じ名前で呼ばれていたといわれています。

トマトの歴史

トマトはペルーのアンデス高地が原産の野菜です。中央アメリカで作物化され、16世紀末にスペイン人によってヨーロッパへ伝えられました。当時はじゃがいもと同様、観賞用植物として育てられていました。日本へは17世紀の初頭、オランダ人によって伝えられたとされています。当時は観賞用の植物であり、唐なすびや唐がきなどの名で呼ばれていたとの記録が残っています。
明治時代初期(1868年)に欧米から食用として赤なすという名で導入されましたが、当時の品種はトマト独特のきついにおいを持つ小型品種でした。そのトマトの匂いに日本人が慣れることに時間がかかり、野菜として普及し始めたのは19世紀末頃でした。20世紀に入り、アメリカから導入された桃色大果品種が広く受け入れられたため、トマトの栽培が日本各地で広まりトマトの需要は急激に増加していきました。
現在では、トマトは生食以外にもジュースやソース、ケチャップなどに加工され幅広く食べられています。
また、栽培の工夫によって糖度[※1]を高めたフルーツトマトも人気です。フルーツトマトとは、特定の品種を指すのではなく、糖度が8以上あるフルーツ感覚で食べられるトマトの総称です。

トマトは野菜?それとも果物?

1793年、アメリカでは野菜の輸入に関税がかけられていました。トマトの輸入業者は関税がかからないように「トマトは果物だから税金はかからない」と主張し、農務省の役人は「トマトは野菜だ」と反論しました。
この論争では両者は一歩も譲らず、1893年に最高裁判所の判決を仰ぐことになってしまいました。最終的に「トマトは野菜」という判決が下り、判決文には「食事中に出されても、デザートにはならない」と書かれています。
判決ではトマトは野菜であるとされましたが、当時からトマトにクリームと砂糖をかけてデザートのようにして食べる地域もあるそうです。韓国や中国、日本の一部の地域でも砂糖をまぶした輪切りのトマトが食べられており、地域によってトマトが野菜であるか果物であるかの認識が異なっています。

トマトの品種

現在、世界では8,000種類を超えるトマトの品種があるとされています。
トマトは大きさによって3種類に分類されます。

丸玉系

丸い形が特徴のトマトです。果皮の色によって桃色系、赤色系に大別されます。
日本では保存性に優れた桃太郎をはじめ、中果以上の生食用の品種のほとんどが桃色系で占められています。
桃色系は酸味やトマト臭が少なく、皮が薄く甘みがあるため生食用として広く受け入れられています。また果肉がしっかりしており、つぶすことなく輸送できることも生食用として普及している理由です。
赤色系は濃い赤やオレンジ色を呈する品種で、日本では加工されることが多く、あまり生のまま食されることはありません。海外では、赤色系の品種が主に食べられています。トマトに含まれるカロテノイドの一種リコピンを多く含む品種です。代表的な品種にはサンマルツァーノ、ポロモッソ、ボンジョルノなどがあり、主に海外で栽培されています。

ファースト系
先端が尖っている特徴的な形をしています。皮が薄く、種周辺のゼリー状部分が少なく甘みの強い果肉が多く詰まっています。ハウス栽培されているトマトの大半はファースト系であり、12月頃から市場に出回り始めます。ファーストトマトという名前で販売されています。最近は品種改良により、尖っていない形のものも出てきました。

ミニトマト系
1980年以降に市場に多く出回り始めた、果実の直径が2~3cm程の小粒のトマトです。種類が大変多く、形も色も様々で、一見しただけではトマトであると判断できないものもあります。
代表的な品種はチェリートマト、プラムトマト、肥後トマトなどです。

トマトに含まれる成分

トマトは、カロテノイドの一種であるリコピンとβ-カロテンを豊富に含んでいることで有名です。トマトは抗酸化力[※2]の強いリコピンを生成することにより、自分の体を活性酸素[※3]から守っています。リコピンはトマトに特に多く含まれる成分です。またトマトのリコピンとβ-カロテンには、その強い抗酸化力から生活習慣病の予防効果があることが証明されています。
トマトの酸味のもととなるクエン酸には食欲を増進させたり、疲労物質である乳酸の代謝を促進する働きが知られており、トマトは夏バテしやすい季節に適した野菜といえます。
また、美肌のために必要なコラーゲンの生成を助けるビタミンCや、余分な塩分を排出し血圧を下げる作用を持つカリウムも豊富に含まれています。
さらに、最近の研究によってトマトに含まれる13-oxo-9,11-octadecadienoic acid(略して13-oxo-ODA)と呼ばれる成分には脂質代謝異常を改善する働きがあることが証明されました。

トマトの食べ方
トマトにはうまみ成分であるグルタミン酸が含まれています。グルタミン酸はアミノ酸の一種で、肉や魚介に多く含まれるイノシン酸との相性が抜群に良い成分です。トマトが煮込み料理や炒め物によく使われるのは、グルタミン酸の働きにより、肉や魚介のうま味がさらに引き出されるためです。
ホールトマトやケチャップなどに加工される赤味の強い赤色系トマトの方が、生食用の桃色系トマトより多くのまた、リコピンを含んでいます。ホールトマトやケチャップ、トマトジュースなどの加工品を上手に利用することで、効率よくリコピンを摂取できます。
さらに、油と一緒に摂取することで、リコピンやβ-カロテンが体内で吸収されやすくなります。